田上市長「これ以上は医療崩壊」 長崎県独自の緊急事態宣言発令で会見

長崎市への緊急事態宣言について説明する田上市長=同市役所

 「静かだが大きな災害の真っただ中にある」。県独自の緊急事態宣言が発令された長崎市の田上富久市長は16日、市役所で会見し、新型コロナウイルス感染拡大に伴い医療が逼迫(ひっぱく)する中「これ以上感染者が増えると医療崩壊する」と述べ、重症化が懸念され、入院者も多い高齢者の感染防止策を強化する方針を示した。
 同市では昨年12月27日~1月13日の公表分で約300人の感染が確認された。あらゆる世代が感染する一方、13日時点の入院者の75%は60代以上。同市を含む長崎医療圏のコロナ病床利用率は90%近くに上った。
 田上氏は「東京と変わらない状況で非常に厳しい。命を守る医療関係者の努力に報いるためにも感染者を減らしたい」と市民の協力を呼び掛けた。病床確保に向けては「民間病院の参画も重要になる」と語った。
 緊急事態宣言に伴う市独自の取り組みとして、通所系介護サービスの利用者に複数の事業所を同時に利用しないよう要請、デイサービスは訪問に切り替えるよう呼び掛ける。期間は18日から今月末まで。約200カ所の関連事業所の従事者約3千人を対象に定期的なPCR検査も実施する。公民館などの休館期間は2月7日まで延長する。
 市独自に呼び掛けていた「市非常事態行動」も2月7日まで延長。人との接触機会を減らすことや、在宅勤務などを求める。グラバー園など観光施設を含む市有施設は1月20日から遅くとも午後8時に閉館する。
 緊急事態宣言を巡り、市民から賛否の声が聞かれた。50代パート女性は「宣言が出れば少しは違う。いい判断」と評価。稲佐町の会社員、前原政広さん(64)は「長崎市だけでなく、全国的に宣言を出さないとあまり効果がないのでは」と疑問を呈した。

 


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