秦野市が福祉・介護相談にAI活用、現場負担軽減など検証へ 神奈川

秦野市が試験導入したAI相談支援サービスのイメージ

 神奈川県秦野市は福祉、介護分野の相談ニーズの増加に対応するため、人工知能(AI)を活用した相談支援サービスを試験導入した。多岐にわたる相談内容の記録や蓄積などに役立て、相談員の負担軽減などにつながるか、検証を進める。

 高齢化の進行で、80代の親が引きこもりの50代の子を支える「8050問題」や、子育てと介護に同時に直面する「ダブルケア」などが顕在化。市でもこうした福祉、介護に関する相談が増加傾向という。

 専門性を有すケースワーカーや相談員が対応に当たっているが、「人材に限りがあり、養成は一朝一夕にはできない。現場の負担は増大しているのが実態」(市地域共生推進課)という。

 そこで、音声認識やデータ分析などをAIが行う業務支援システムに着目。市は、市内の各相談支援機関から地域共生支援センターに寄せられた相談に関し、内容を自動的に文書化したり、相談データを蓄積・分析したりするAI機能の有効性を検証する。「生活保護」「求職」などのキーワードに関連した情報なども表示され、職員の相談時の負担軽減も期待される。

 福祉、介護に関する相談は相互に関連することも多いといい、同課は「AIシステムを通じて業務の効率化やデータベース化が進み、知見やノウハウの共有・蓄積が容易になれば、職員の負担軽減につながる。住民へのきめ細かなサービスにもつなげたい」と期待する。

 試験導入は3月末までで、市は有効性が確認されれば正式な導入を検討する。

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