川崎大師名物・久寿餅の「住吉」 消防団員募集で全国デビュー

住吉の店舗前でポスターを持つ森代表取締役(左)と横尾さん=川崎市川崎区

 川崎大師平間寺(川崎市川崎区)の山門前で「久寿餅(くずもち)」を販売する老舗和菓子店「住吉」が、消防庁消防団員入団促進キャンペーンのモデルに採用された。「全国の協力事業所の顔」として、1年間にわたりポスターや動画などでPR役を担う。市内の事業所が選ばれるのは初めてといい、市消防局は「川崎のイメージアップにもつながる」としている。

 全国の消防団員の入団を促すため、消防庁は毎年1月から3月にかけ「入団促進キャンペーン」を展開。「一般」「学生」「女性」「企業」の4部門でポスターやリーフレットを作成している。ポスターなどは全国で62万5千枚配布されるという。同社は「企業」部門でエントリーされ、市消防局が積極的に働き掛けたこともあり、全国約1万6千600ある「協力事業所」の中から採用となった。

 同社は1917(大正6)年創業。現在の社員は38人で、横尾知敏さん(43)と大塚智さん(52)の2人が臨港消防団に所属。法人としても40年ほど前から協力事業所の認定を受けている。

 2人が出動や消防団のイベントに参加する際も勤務時間として扱うなど全面的にバックアップしている同社。森明弘代表取締役は「デメリットはまったくない」と強調する。社内でボイラーを使用することもあり、「お客さんが出入りする店舗なので、消防団員がいて心強い」と話す。

 久寿餅は鮮度の良いものを提供するため、販売は県内や東京都内に限られる。森さんは「全国に社名が知れ渡り、はずかしい気持ちもあるが光栄」とし、お年寄りが多く住む地元での安心安全なまちづくりに意欲を見せる。「町内に団員がいることはメリットになる。今後も地域に貢献していきたい」

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