物件を購入したらどう運営する?投資家・坂本慎太郎氏が解説

Bコミこと坂本慎太郎です。株式評論家としてラジオや証券会社の講演、個人投資家向けの教育コンテンツなどの活動をしています。前回は物件購入の話をさせていただきました。今回は運営面で悩むポイントや購入した物件が時を経てどうなったかをお話ししたいと思います。


サブリースか自主管理か

入居者からの対応や家賃の収取業務を自分でやるかどうかも選択しなければなりません。私は入居者がいてもいなくても一定の額を契約者に払ってくれるサブリース制度を利用しましました。サブリースすることで家賃の10%をマージンとして取られます。また、家賃の収集代行というものがあり、家賃の5%程度で家賃管理業務を行ってくれます。

不動産投資本を読むと「サブリースは利回りが下がるので自主管理をすること」と書かれていますが、不動産投資初心者がすべて自分でやることは厳しいと思います。忙しい人もいるでしょうし、物件が遠方の人もいるでしょう。家賃の支払いが滞った入居者に電話するのも億劫ですし、精神的なストレスもかかります。サブリースは解約して集金代行に移行することや、自主管理も選択できますし、利回りが取れている物件を購入できれば最初の選択としてサブリースの利用を検討しても良いと思います。

収支について

収支はプラスであることにこだわりました。新築物件は月に1~2万円の赤字(持ち出し)の物件をローンに団体生命保険が付いているため生命保険代わりにしている人もいるかもしれません。

家賃は下がりにくいとはいえ、新築物件は新築プレミアムが乗っているので購入から数年で家賃は下がる可能性が高いです。購入時点で収支が赤字である物件は、低金利・低成長の日本では家賃上昇が見込みにくく、厳しい収支運営になってしまいます。

私はサブリースで入ってくる収入、管理費・修繕積立金を勘案して収支がプラスの物件を買うことができました。家賃や利回りについてこだわる人がいますが、私は収支がプラスであれば気になりません。地域に沿った家賃相場で借り手がついていることを注意したくらいです。あくまでもポートフォリオに不動産と負債を組み入れることが重要なので、収支がプラスで返済が進んでいれば気にしていませんでした。結果、7年間保有していますがその間に低金利や不動産投資が盛り上がったこと、若干の家賃相場の上昇の恩恵を受けています。

不動産投資は建物の劣化や空室などネガティブな面がクローズアップされがちですが、ある程度の期間保有することでローンの返済が進むことはあまり語られることはありません。売却時は売却価格からローン残額を引いたものが手残りです。保有期間が長いとこの手残りが増加していきます。

最近は返済期間を最長45年まで延ばすことができる投資用不動産ローンも登場しています。長すぎる返済期間を選択する方は、社会情勢の変化や大規模修繕の持ち出しなどを考えて利用してほしいです。

保有7年で売却

では、私の例に移ってみましょう。今年1月末に南大塚に保有している物件を売却しました。物件概要はJR山手線大塚駅から徒歩5分、20平米前半のワンルームマンションです。築10年ちょっとで購入して現在築18年の物件です。

山手線駅近、東京メトロ、都電荒川線も利用できる立地で客付けに困ることはありませんでした。7年間の保有で家賃は700万円弱、管理費・修繕積立金や固定資産税などの諸経費や税金を引いても600万円前後の収入がありました。加えて物件価格の上昇も見込めたため売却することにしました。物件の値上がり益は200万円となり、家賃分の600万円と合わせて800万円のプラスとなりました。

物件が古くなっているのになぜ値上がりしたのか?と思っている方もいると思いますが、背景は低金利であること、銀行や信販の融資態度を緩くしたため金融商品としての価値が上昇したことだと考えています。

簡潔に言うとローンを組める年数が延びています。今までローンは35年が普通でした。鉄筋コンクリートのマンションの耐用年数は47年のため、この耐用年数まで各社ローンを伸ばしています。そのため、新築マンションは45年前後のローンを組むことができます。ローンの年数を延ばすと月々の返済額を抑えることができるため、物件価格が上昇しても「家賃―(引く)返済額」がプラスでマンション経営ができます。

これにより低金利の継続なども加わり、都内のマンション価格を押上げる結果となりました。

次回は、税金問題と売却の電話対応についてお話しします。

© 株式会社マネーフォワード