低い育休取得率 長崎県内男性2.1% 性別役割分業続く

 育児休暇の取得を巡って長崎県が県内事業所を対象にした2019年度の調査(有効回答778件)では、17年7月から1年間に出産した女性従業員のうち、90.1%が育休を取得。一方、配偶者が出産した男性従業員のうち、育休を取得したのは2.1%にとどまった。調査方法は異なるが、厚生労働省の19年度の調査でも、男性の育休取得率は全国平均で7.48%、県平均は2.1%だった。
 女性学に詳しい長崎純心大の国武雅子非常勤講師(59)は「男性は自分が大黒柱でなければといったプレッシャーから育休を取らない状況もあり、家事労働などを女性が担う性別役割分業は続いている」と分析。県内で男性の育休取得率が全国より低い点については、大都市などと比較して給与水準が低いことを挙げ、「男性が育休を取得すると経済的に苦しくなるといった考えが働くのではないか」とした。
 一方で「近年は男性で育児や育休取得を希望する人が増えた」とした上で、「女性、男性と分けて考えるのではなく、現代に生きる全ての人が『生きやすい』と感じる社会に、人々の意識と制度を変えていくことが必要」と強調する。
 厚生労働省の16年度「婚姻に関する統計」によると、婚姻後に姓を変えた人の96%は女性。内閣府の19年9月の調査では、結婚して戸籍上の名字が変わった場合、働くときに旧姓を通称として使用したいかという質問に、女性の25.5%が「使用したい」と答えている。
 女性の大半が婚姻後に姓を変えている点について、国武氏は「男性が名字を変えると、仕事がしづらいなどの理由がある」と指摘。また「地方に行くほど、女性が『名前を変えたくない』と言いにくい雰囲気もあるのではないか」と述べた。

 


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