阪神ドラ1・佐藤輝の怪物オーラにライバル唸る「もう何年もプレーしているような…」

天然キャラも佐藤輝の魅力だ

開幕スタメンに向けて視界良好だ。阪神のドラフト1位新人・佐藤輝明内野手(21=近大)が、今年の甲子園で初のオープン戦となった9日の広島戦に「6番・左翼」でスタメン出場し、初回二死一、二塁の〝聖地初打席〟で相手先発の矢崎から右前にはじき返して打点もマーク。「力むことなく、いつも通りプレーしたい」と話していた通り、非凡な才能を今年初の本拠地有観客試合で発揮した。

キャンプから虎の即戦力砲をチェックし続ける他球団スコアラーも舌を巻くばかりだ。「もう何年もこのチームでプレーしているような…いい意味でふてぶてしさしかない。そんな雰囲気が出ているうちは、今のように普通に力を発揮し続けると思いますよ」と敵ながら佐藤輝の貫禄は脅威でしかないという。

ルーキー離れした立ち居振る舞いは練習中にもうかがえる。練習開始時刻に登場するタイミングは、キャンプから一貫して集合時間直前。試合前のフリー打撃では、新人ということもあり最終組で打つことが多いが、終了時の球拾いに備えて散らばっているチームスタッフへの「バッティング終了でーす!」との声かけもしないままベンチに引き上げ、井上ヘッドコーチから「声、声!」と指摘されることも日常茶飯事だ。

本人に他意はなく、あくまで〝天然〟のうちにやってしまっているところに大物の片りんを感じさせる。そんな一面も、矢野監督は「いい意味でマイペースなところがある」と後押しするなど、チームとしても好意的に受け止めている土壌があり、怪物新人にはプラスに作用しているようだ。

9日までのオープン戦4試合計15打席で1本塁打を含む4安打2打点。その一方で6三振、0四球と良くも悪くも積極性が目立つ。ただ、その点についても他球団のスコアラーは「彼のようなタイプは、考え込んだあげくバットを振れなくなるのが最も深刻。凡退した打席にも特徴が良さとして出てます」と長所の一つと見ている。

あくまでノビノビと自由にプレーさせる――。このおおらかさこそが虎の怪物ルーキーの進撃を支えているようだ。

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