有害鳥獣捕獲従事者 例年比5倍 50人登録 対馬市議会

 対馬市の比田勝尚喜市長は10日、農林業や生態系への影響が深刻なツシマジカなどの駆除に向けた有害鳥獣捕獲従事者数について、新型コロナ禍による失業者らへの支援策として狩猟免許取得費などを補助したことに伴い、本年度は例年比5倍近い50人が登録されたと明らかにした。市内の有害鳥獣捕獲従事者数は計243人になった。
 定例市議会会派代表質問で、初村久藏議員(新政会)の質問に答えた。
 ツシマジカは1966年に県が天然記念物に指定し捕獲を禁止していたが、70年ごろから農林業被害が発生。81年から有害鳥獣としての捕獲が始まり、県は2004年に天然記念物の指定を解除した。20年1月時点の推定生息数は全島で約4万1千頭。
 同市などによると、新型コロナウイルス感染症対策事業費のうち約700万円で本年度の狩猟免許受験費と猟友会への登録料(各計約2万円)を全額補助。わな購入費なども10万円を限度に半額補助した。昨年12月に同市であった狩猟免許試験には62人(前年度比39人増)が受験し、58人(同37人増)が合格。このうち53人がシカとイノシシの捕獲頭数に応じて捕獲報奨金(各1頭当たり8千~1万円)が得られる有害鳥獣捕獲従事者への登録を申請し、市外への転出者を除いた50人が10日時点で登録されているという。
 比田勝市長は「健全な森林を管理していくためには適正な生息頭数といわれる3500頭まで減少させる集中的な捕獲を進めることが肝要。関係機関と連携した捕獲強化を粘り強く進めていきたい」と述べた。

© 株式会社長崎新聞社