加山雄三さんの声をAIで再現 「僕は一言も喋っていません(笑)」 茅ケ崎の施設で館内放送

「茅ケ崎に愛を込めて」プロジェクトのPRポスター

 神奈川県茅ケ崎市は4月5日から、地元出身の歌手・俳優の加山雄三さんの声を人工知能(AI)を使って再現したデジタル音声を、市役所や商業施設などの館内放送で使うプロジェクトを始める。

 「茅ケ崎に愛を込めて」と銘打ったプロジェクトで、同市商店会連合会や茅ケ崎商工会議所青年部が加山さんの協力の下、昨年10月から準備を進めてきた。昨年、芸能活動60周年を迎えた加山さんから「新型コロナウイルスの影響で苦しむ地元茅ケ崎に何かできないか」と提案を受けたことがきっかけという。

 音声合成コンテンツの企画・制作を手掛けるコエステ(東京都)がAIや合成音声技術を駆使し、加山さんの声の質や高さなどを分析し、一から音声を作り上げた。若き日の加山さんをあしらったプロジェクトを紹介するポスターには「僕は今回、一言も喋(しゃべ)っていません!(笑)」との一文が添えられている。

 同市役所では午前と午後計2回の館内放送を予定。午前中バージョンは「皆さん、おはようございます、加山雄三です。心と体を健康に、どうぞ充実した1日をお過ごしください」と語り掛ける。市立病院や市総合体育館など公共施設のほか、市内のスーパーや温泉施設、駅ビルなど計12カ所で流される。

 市などはポスターを駅や商店街などに掲示し、プロジェクトをアピールする。市産業振興課は「加山さんの音声を聞きながら、地元愛を醸成し、市民とともに茅ケ崎を盛り上げていきたい」としている。

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