【新型コロナ】患者情報、市町村への提供「可能」 神奈川県の検討会が報告書

神奈川県庁

 新型コロナウイルス感染症を巡り、患者情報の公表や市町村への提供の在り方を議論する神奈川県の有識者検討会は3月31日、報告書をまとめた。県から市町村への情報提供について、療養者支援で連携する場合などは「可能」との考え方を示した。

 弁護士や医師ら6人による「新型コロナウイルス感染症患者情報の公表方針に係る検討会」(座長・人見剛早稲田大学大学院教授)は2月に設置され、報道各社との意見交換などを経て報告書をまとめた。

 海老名市が自宅療養者に対し買い物やごみ出しなどの支援に乗り出していることなどを踏まえ、県から市町村への患者情報提供の是非を議論。報告書では、県と市町村が連携して実施する場合など、感染症法上の根拠がある業務については提供は可能とした。

 一方、療養期間が終了した人に後遺症に関する相談員を派遣するといった市町村が自主的に講じる業務については法的な根拠が認められないとし、情報公開・個人情報保護審議会に諮問する必要があるとした。

 県民への患者情報の公表については、個人情報保護に留意していることなどを挙げ、現在の県の公表方針は「おおむねバランスが取れたもの」と評価。クラスター(感染者集団)が発生した施設名の公表では、管理者側の同意が得られなくても感染防止に必要な場合は十分説明した上で公表することも可能とした。

 県は報告書の内容を踏まえて具体的な検討を進める。

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