巨人・畠世周の目を覚まさせた〝魔法の言葉〟とは

今季初勝利を挙げた畠

いよいよ波に乗れるか――。巨人の〝7番目の男〟畠世周投手(26)が14日の中日戦(東京ドーム)に先発し、9回途中7安打1失点の好投で今季初勝利を挙げた。チームは今季初の3連勝。開幕ローテから漏れた5年目右腕の復活の裏には、2号2ランで援護してくれたFA戦士・梶谷隆幸外野手(32)から授かった「魔法の言葉」があった。

もう後がない右腕が本拠地で覚醒した。初回一死一、二塁のピンチを無失点で乗り切ると、2回から7回まで力のある直球と縦に落ちるカットボールを効果的に使い無安打投球。9回にソロを浴びて自身2度目の完封こそ逃したが、9回途中1失点にまとめた。

打線の援護も効果的だった。3回一死一、二塁から松原の先制適時打、坂本の2点二塁打が飛び出し、トドメは打率1割7分7厘と不振にあえいでいた梶谷。一死二塁から2号2ランを右中間スタンドに叩き込み、畠に5点のリードをプレゼントした。

5年目右腕は崖っぷちに立たされていた。二軍スタートも井納の不調で回ってきた7日の阪神戦(甲子園)で4回途中4失点KO。ダメなら二軍落ちという背水の構えでこの日の登板に臨み、チームを今季初の3連勝に導いた。原監督は「前回もボールそのものは良かった。あとはやっぱりクリアに勝負するというところ? そういう点では今日はすごく良かったんじゃないでしょうかね」と合格点を出した。

畠の心の支えとなっているのが「マジックワード」だ。「お話をした時、梶谷さんが自分のことを『苦手だった』と言ってくれた。同じチームにならないと、なかなかプロの本音は聞けない。あれだけの打者に言ってもらえてすごくうれしかったですし、自分の中で自信になりました」

畠はDeNA時代の梶谷と2017年に初対戦。昨季までの4年間で14打数1安打1本塁打と畠が抑え込んでいた。昨季3割2分3厘でセ2位の高打率をマークしたFA戦士の〝苦手発言〟が自信を取り戻させてくれたという。

その恩人が、この日はバットでも援護してくれた。値千金弾は新天地で不振に陥っていた梶谷にとっても復調を告げる一発で「日々やることやって、自分の結果出していくしかない。1本1本の積み重ねを毎日続けるしかないと思っている。何とか早くもっと貢献したいというのが強いので、今はまだ安心している状態ではないですね」と前を向いた。

投打がかみ合った巨人は一時の借金生活から貯金2まで浮上。新型コロナ禍で来日が遅れていた2人の新助っ人、陽性で離脱していた丸ら主力4人にも合流の目途が立った。リーグ3連覇を狙う巨人にようやく追い風が吹き始めたようだ。

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