前園真聖氏が語る欧州スーパーリーグの期待と不安「質の高いプレー見られるのか」

国際サッカー連盟は欧州スーパーリーグに真っ向反対、対立が深刻化している(ロイター)

12のビッグクラブにより創設された欧州スーパーリーグ(ESL)が世界中に波紋を広げている。国際サッカー連盟(FIFA)や欧州サッカー連盟(UEFA)は真っ向から反対し、参加選手にはW杯をはじめとした国際大会出場禁止の制裁措置を表明するなど対立が深刻化。サッカー界を揺るがす大問題に、元日本代表で本紙評論家の前園真聖氏(47)も声を上げた。

【前園真聖 Zoom up】まず、欧州のサッカーに直接関わっているわけではないので、あくまで一人のファンとしての思いから話をさせてもらうと、強豪各国の中でもトップクラスのチームだけが集まって戦うリーグというのは単純に見てみたいですし、素晴らしい選手たちのプレーは楽しみです。やはり見るほうとしては純粋に面白いと言えるでしょう。

ただ、ESLに参加するクラブは欧州チャンピオンズリーグ(CL)には出場しないことになるでしょうし、サッカー界が2つの勢力に分かれてしまうのはあまり良い状態ではないと言えます。

それでも、新型コロナウイルス禍で各クラブの財政事情も厳しいようですし、ESLにはビジネスの側面もあるのでしょう。参加チームの選手はW杯に出場できなくなる可能性もあるようですが、仮にそうなったとしてもESL側が「じゃあ、やらない」となるのか。それはならないと思います。クラブとしてはビッグビジネスはそちら(W杯)ではないですし、選手と契約してお金を出しているのもクラブのほうです。

気になる点もあります。これまで選手は国内のリーグ戦やカップ戦に加えて、CLやEL(欧州リーグ)が入ってくることで非常に疲弊してしまっていました。それはケガにつながったり、プレーの質の低下を招くことにつながります。そうした状況がESLで改善されるのでしょうか。

まだ今後どのチームが参加する、参加しないというのは不透明な部分もあり、試合数などもはっきりしていないですが、リーグ戦の形で実施するとなると逆に試合数が多くなってしまう懸念もあると思います。質の高い試合を見たいと願う立場からすると少し心配ではあります。

CLに対してクラブや選手が不満を抱いたことが、こうした動きにつながってきていると思うので、うまくいっていない現状があるのでしょう。ESLが良い悪いということではなく、そうした現状をどう改善していくべきかをしっかり議論することが重要だと思います。今後どのような状況になるのかしっかり見守りたいと思います。

(元日本代表MF)

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