【競泳】五輪アジア予選でタイム改ざんと口止め買収工作があったと選手が実名告発

東京五輪で水泳競技の会場となる東京アクアティクスセンター(写真はイメージ)

競泳の東京五輪アジア予選を兼ねるウズベキスタン・オープン(13~17日、タシケント)で、五輪派遣標準記録を超えさせるためのタイム改ざんが行われ、口止めのために多額の金を渡されそうになったと21日、インド人選手が告発し、波紋を広げている。

男子平泳ぎのインド代表リヒト・セルバラジ(22)は21日、ユーチューブ上で「地元のウズベキスタン選手ために、いくつものタイム改ざんが行われ、インド選手も間違った記録が残されたことが悲しく、とても心を痛めている」と表情を曇らせながら出来事を振り返った。

訴えたのはいずれも予選のレースだ。初日の男子100メートル自由形予選。「地元ウズベキスタンのアレクセイ・タラセンコの記録が51秒だったのに、五輪標準記録である48秒55に改ざんされた。このレースでは、電光掲示板が消され、タイム表示が出なかった。レースのビデオも付け加えてあるので見てほしい」

さらに同様の事態が最終日の100メートルバタフライ予選で発生したとを訴えた。「この時も再び電光掲示板が消されたため、手動でタイムを計った。仲間のインド選手が54秒でトップだったにもかかわらず、後に出てきた結果は衝撃だった。タラセンコが52秒02でトップ。インド選手は52秒74だった」

抗議の意味を込め、セルバラジは最終日の自分のレースで飛び込まず、手でタイムボードをタッチしプールから去った。係員が追いかけてきたため「スポーツマンシップに反している。あなたたちはインチキをしているじゃないか」とクレーム。すると「お前は政治を知らない。ウズベキスタンの10選手に五輪標準記録を突破させるように上から言われているんだ」と明かされ、口止めのため多額の現金を渡そうとしてきた。これを拒否すると、後にインドチームに「セルバラジは精神的に不安定だった」という書面を求めてきたという。

この告発はインドメディアも即座に報道し、波紋を広げている。「私はすべての選手が証言し、国際水泳連盟(FINA)がこれに関わる選手、関係者に調査を開始することを求める」と実名、顔出しで訴えたセルバラジ。真相究明が求められる。

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