小学生対象に無料学習塾を開講 諫早・ジスコグループ 「学びの場に」願い込め

プログラミングアプリを使い、マウスを動かす子どもたち=諫早市、ニューステーションホテル・プレミア

 長崎県諫早市のジスコ不動産(徳永耕一社長)などでつくるジスコグループが今月、社会貢献活動の一環として、小学生を対象にした無料の学習塾を開講した。「家庭の経済状況などで塾に行くことができない子どもたちに、学びの場を提供したい」との願いを込めている。
 20日夕方、同グループが永昌町で経営するホテル。小学生約10人が、それぞれパソコンに向かい、マウスを動かしていた。講師に教えてもらいながらプログラミングアプリ「ビスケット」を使い、画面上に描いたシャクトリ虫を動かしていく。「できた」「楽しいね」-。子どもたちの笑い声がはじけた。
 無料塾は毎週火曜日午後5時から開いている。教えているのは、論理的思考力を育むため、2020年度から小学校で必修になったプログラミングのほか、算数と英語(各50分)。きっかけは、徳永社長が知人から耳にしたこんな言葉だった。「今の子どもたちは複数の習い事をしている。普通の家庭は塾に通わせるのが当たり前」。驚いた。「経済的に貧しい家庭の子がハンディを背負うようなことがあってはいけない。支援して自信を持たせ、モチベーションを高めさせたい。友達をつくる場にもしたい」と考えたという。
 3月に募集したところ、予想以上の反響があり、現在、諫早、長崎両市の計20人が在籍。子どもが引け目を感じないよう、あえて家庭の所得制限は設けなかった。講師陣はプログラミングが同社従業員3人、算数と英語は募集に応じた元教諭ら各4人。子どもたちの学習の“つまずき”に柔軟に対応するため、大人数による集団指導ではなく、高学年(5、6年)とそれ以外に分けた少人数(5人程度ずつ)のクラス編成にしたのが特徴だ。チラシを見て、自ら通塾を希望したという6年生の男の子(11)は「分からないところがあったらすぐに教えてもらえるので楽しい」と話す。
 塾長で、同社IT部長の森山清さん(66)は元公立中の理科教諭。約40年の教職時代、ずっと葛藤があった。「学校はクラスの人数が多く、どうしても授業に付いてくることができない生徒が出てくる。小まめな指導をしたかったが、時間も限られ、できなかった。理解のスピードは一人一人違う。子どもに寄り添い、つまずきをなくす塾になりたい。勉強の楽しさを知ってほしい」
 同社は受講の申し込みはいったん締め切ったが、少人数に対応できる講師の確保など受け入れ態勢が整えば、追加募集や学習内容の充実を図りたい考えだ。

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