【東京五輪】〝ワクチン神話〟崩壊!?五輪統括部長「100%の防御ではない」とトーンダウン

5者協議後にオンラインで会見したクリストフ・デュビ五輪統括部長(後方モニター、写真はロイター)

新型コロナウイルス禍での開催が不可避な東京五輪・パラリンピックで、最も関心を集めているのが感染対策だ。しかし、国際オリンピック委員会(IOC)はコロナのワクチン接種を義務化していない。これまで「切り札」として期待されながら、〝トーンダウン〟の気配さえある。

大会組織委員会と国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)は新型コロナ対策などをまとめたプレーブック(ルールブック)第2版を28日に公表した。海外選手に出国前96時間以内に2回の検査、入国時も空港で検査を求めるなど水際対策の強化をアピール。今回は専門家の知見も盛り込まれ、担当者の説明には熱が入っていた。

その後の質疑は内容の確認が多かったが、中には「アスリートがワクチン接種をしなくてもいいという『根拠』は何なのか」との〝変化球〟も飛び出した。ワクチンはかねて感染予防の切り札とされながら、IOCのトーマス・バッハ会長(67)は摂取の義務化を明言してこなかった。

この質問を受けたクリストフ・デュビ五輪統括部長は「公正、フェアな観点から、すべての国がワクチンが持っているわけではない。初めから各国の政府、NOCに対して手を携えてワクチン接種ができるように努力してくれということは言っている。アスリートから(接種を)始めてほしいということは言っているが、すべての国でできるわけではなく、それぞれの国で状況は違う」と説明。

さらに「2つ目の理由は、ワクチン接種はとても効率的で、とてもいい結果も出ているが、100%の防御ではない」とまさかの〝トーンダウン〟。続けて「だから、プレーブックは本当に重要で、ワクチン接種をしたとしてもすべての措置は守ってもらいたい。よって、われわれの決定はワクチンは義務ではないが、したほうがいいと推奨しているということ。この2点がなぜ義務化をしないかについての理由だ」と述べた。

ワクチンを巡っては、3月に中国が提供を申し出たことが、バッハ会長によって明かされたこともあった。だが、次々と出現する変異株にどこまで効果があるかは不透明。IOCにとってはプレーブックこそ新たな〝切り札〟なのかもしれない。

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