ノアのGHCナショナル選手権(29日、名古屋国際会議場イベントホール)は挑戦者の杉浦貴(50)が〝野獣〟藤田和之(50)を破り、第5代王者に輝いた。
まさに怪獣対決だった。50歳同士による「杉浦軍」の同門対決は、序盤から激しい肉弾戦が展開された。にらみ合いにつき合わず、前蹴りから前に出た杉浦だったが、場外戦では4方向の鉄柵に投げつけられピンチを迎えた。
それでも9分過ぎだ。前哨戦でKOされたサッカーボールキックをかわすや、藤田の左足をアンクルホールドで捕獲。リング中央で2分近く締め続け、大ダメージを与えた。
終盤にはエルボー合戦、張り手合戦に一歩も引かず、お返しとばかりにサッカーボールキック2発を王者の顔面に命中。最後はこの試合3発目となる五輪予選スラムを決め、昨年5月に陥落して以来となる2度目の同王座戴冠を果たした。
試合後、白目をむいたままピクリとも動かない野獣が担架で運ばれると、杉浦はリングにベルトを置き深々と頭を下げた。そしてマイクを握り「藤田、ありがとう」と感謝の言葉を述べるや、相棒の桜庭和志(51)に「サク、ベルト取ったよ」と報告した。
すると桜庭は「おめでとうございます。似合うね」と祝福した上で「欲しいな、欲しいな」とニヤリ。「この前(同王座戦で)拳王に負けたばかりじゃん。ジャンケンで勝ったら受けてやるよ」と返答した杉浦だったが、結局ジャンケンで負けたことで「しょうがない。このベルトかけてどこかでやろう」と受諾。前GHCタッグ王者同士による「杉浦軍」の同門王座戦が決定的になった。