比嘉区間賞「陰」の男に脚光 大村・東彼

 全国レベルの同級生の陰に隠れていた高校2年生が、鮮やかな県下一周デビューを果たした。大村・東彼の8区比嘉(鎮西学院高)が初出場で区間賞を獲得。10年ぶりの総合優勝に向かって突き進むチームに、新しい風が吹いた。
 憧れだったオレンジ色のたすきを右手で受け取ると、真っすぐ前を向いた。沿道にチームメートの姿を見つけた約3キロ地点で、やや硬かった表情が和らぐ。1キロ3分5秒で刻む堅実な走り。高校生にとっては長い8.6キロの一人旅でも最後まで乱れず、3秒差で区間1位を勝ち取った。
 全国屈指の実力を持つ林田(瓊浦高)、花尾(鎮西学院高)と同郷の同級生。西大村中時代から県大会で入賞する実力を持ちながら、県下一周駅伝は1回も出番がなかった。直前のメンバー変更でようやくチャンスが巡ってきた今回。「陰から抜けだしたい」。静かに燃えていた。中学2年以来、3年ぶりに獲得した県大会の区間賞だった。
 うれしくて、指導を受けている鎮西学院高の入江監督に電話すると「もう少し頑張れよ」と言われた。「ちょっとくらい褒めてくれてもいいのに」と思ったが、恩師なりのエールと受け止めている。最終日に走るのは4区。他チームも高校生ばかりだ。「もう一つ区間賞を取って、次こそ良くやったと言わせたい」。一段と、やる気がみなぎってきた。

連続区間賞を獲得した7区村川(波佐見町役場、左)と8区比嘉(鎮西学院高)がたすきリレー=東彼波佐見町

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