10円で施設売却 五島市議会「追認」可決で閉会 「やむを得ない判断」

 定例五島市議会は24日、最終本会議を開き、市が昨年に不動産鑑定評価額168万円の市有農業施設を民間に10円で売却したことについて、追認する議案を賛成11、反対4の賛成多数で可決した。売却を巡り市監査委員が「10円は適正と認められず、議会の議決を経ていない違法な財産処分」とし、野口市太郎市長が市に差額を払うか、議決を得るよう勧告していた。
 同施設は耐用年数を過ぎており、市有財産評価委員会は10円と評価。市は昨年4月、市内の農業法人に10円で売却したが、市監査委員は不動産鑑定士が査定した168万円を適正な価格と判断した。
 市は10円で売っても解体費や修繕費を売却先が負担し、将来的な市の負担が軽減されるなどと説明。反対議員は「(勧告対象の)市長は議会や財産評価委に責任を負わせ、市の損失167万9990円は市長の責任でなくなるとの認識。市民や議会を無視した市政運営」などと批判。賛成派は「10円売却はやむを得ない判断」などと意見した。
 この他、県五島中央病院付属診療所奈留医療センターの居宅介護支援事業などの廃止に伴い、県病院企業団規約を変更することに関する議案を、賛成少数で否決。「住民への説明が足りない」「早急に規約変更せず、仕組みを残して必要な時に再開を求めるべき」などと反対意見が上がった。
 定例市議会は24日、市農業委員会委員の任命や本年度一般会計補正予算案など計28件に同意、可決して閉会した。

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