メクル第504号 東彼杵町 × V長崎=「V大学」 背番号で計算楽しむ「V・ドリル」

ドリルの表面。選手の顔写真と数式が載せてある

 東彼杵(ひがしそのぎ)郡東彼杵町は「価値(かち)の高い学びの場」をつくろうと、県内唯一(ゆいいつ)のプロクラブであるサッカーJ2のV・ファーレン長崎と一緒(いっしょ)に取り組みを始めています。「シャレン!」という名でJリーグが全国で進める活動の一環(いっかん)です。どんな内容(ないよう)なのか町を訪(たず)ねてみました。

◎第1弾 背番号で計算楽しむ「V・ドリル」

 「シャレン!」は「社会連携(れんけい)」の略(りゃく)。教育やまちづくり、世代間交流など、さまざまな社会の課題や共通テーマについて、地域(ちいき)住民、企業(きぎょう)・団体(だんたい)、自治体、学校などがJリーグ、クラブチームと連携して取り組む活動のことです。2018年に開幕(かいまく)25周年を迎(むか)えたJリーグが「Jリーグのチカラを使って地域をより良くしよう」と始めました。
 東彼杵町は昨年、まちづくり課係長の中山雄一(なかやまゆういち)さん(42)を中心に、V長崎と一緒に学びの場をつくろうと考えました。その名も「ひがしそのぎV大学」。V長崎の選手やスタッフ、スポンサーが“先生”となり、子ども向けに「サッカー教室」を開いたり、高校生や大学生には「スポーツの世界で仕事探(さが)し」、高齢者(こうれいしゃ)には「長生きフィットネス」などを教えたりする構想(こうそう)です。
 「子どもたちにとってプロ選手と学び、過(す)ごす時間は、自分自身や古里への自信につながるのではないか。少し遠い存在(そんざい)だったクラブへの愛着が増(ま)したり、自分の町をもっと好きになってもらえるのでは」と中山さんは考えています。
 V長崎のタウン推進(すいしん)課、大津龍太(おおつりょうた)さん(33)は「これまでサッカー教室しか考えていなかったけれど、自分たちで思い付かない企画(きかく)を考えてもらって勉強になる。地域との連携が増(ふ)えることはありがたい」と話します。

ドリルの裏面。選手の全身写真と名前、背番号を掲載

 同町まちづくり課はV大学の取(と)っ掛(か)かりとして8月に、各選手の背番号(せばんごう)を使って計算を楽しむ「V・ドリル」を作成しました。新型コロナウイルスの感染防止対策(かんせんぼうしたいさく)で外出自粛(じしゅく)が求められる中でクラブとのつながりを作ろうとのアイデアです。
 ドリルを体験した町内の児童は「選手の顔と名前を覚えてみたい」と話していたそうです。「V長崎を知らない子どもたちにも興味(きょうみ)が広がった」と中山さん、大津さんも手応(てごた)えを感じています。
 大津さんは「もっといろんな市町で、地元企業も加わって活動の幅(はば)を広げていけたら」と話しています。


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