弁当の客「NO箸なら」 平塚の日本料理店が寄付する取り組み 「もったいない精神」で発案

寄付金を竹製の貯金箱に入れて集めている関口さん=平塚市花水台

 神奈川県平塚市花水台の老舗日本料理店「竹万」が、仕出し弁当を注文した客が箸と紙おしぼりの提供を断るたびに10円を寄付する取り組みを始めた。名付けて「NO箸 NO紙おしぼり運動」。若主人の関口雄一さん(42)は「日本文化の特徴である『もったいない精神』を見つめ直すきっかけになれば」と話している。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、同店は仕出し弁当を客の自宅に配達する機会が増加。関口さんは「自宅では箸や紙おしぼりは必要ない。もったいない」と思うようになり、発案した。客の同意を得られれば、弁当1個につき箸と紙おしぼりの原価に相当する10円を貧困問題などに取り組む地元のNPO法人「フードバンクひらつか」に寄付する。

 壊れた食器の金継ぎや食べ残しの持ち帰りサービスなど、SDGs(持続可能な開発目標)に取り組む関口さん。「日本人の『もったいない精神』と通じるものがある。日本文化を受け継ぐ日本料理店だからこそ取り組むべき」との思いがある。今回の運動も、その一環だ。

 3月下旬以降、寄付金はまだ100円という。関口さんは「押し付けがましくなってはいけないので、お客さんにこの運動のことをあまり話してなくて…」と遠慮がちだが、「運動を地域に広げ、次代に大切な精神を引き渡したい」と熱く語った。

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